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第4-4日 Vol.88  譬喩を説いて、義を明さん 【信解品第四】(十五~二十二行)

法華経 信解品第四

 
★★ きょうの謎!
  
その謎1:

 

子はなぜ父を捨てて逃逝(じょうぜい)したのでしょう?
   
その謎2:

 

子が逃逝して帰らないことにより、父の家が富むとはどういう例え話なのでしょう?
 
  
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■■第4-4日 Vol.88to
   
 譬喩を説いて、義を明さん
 
 【信解品第四】
 (十五~二十二行)
 
  
■■今日の一偈一句
 
 セソン ワレライ マ ネガ   ヒユ  ト   モッ コ  ギ アカ  タト  ヒト
 世尊、我等今者樂わくは譬喩を説いて、以て斯の義を明さん。譬えば人あつて、
 
 トシスデ ヨウチ   チチ ス  ジョウゼイ ヒサ  タコク ジュウ  アルイ ジュウニジュウ
 年既に幼稚にして父を捨てて逃逝し、久しく他國に住して、或は十・二十より
 
 ゴジュウサイイタ  トシスデチョウダイ マスマス マタグコン  シホウ チチョウ  モッ エジキ モト
 五十歳に至る。年既に長大して加 復窮困し、四方に馳騁して以て衣食を求め、
 
 ゼンゼンユギョウ ホンゴク ア ムカ    ソ チチサキ  コノカタ コ  モト   エ
 漸漸に遊行して本國に遇い向いぬ。其の父先より 來、子を求むるに得ずして
 
 イチジョウチュウシ  ソ イエオオイ ト  ザイホウムリョウ   コン ゴン ルリ  サンゴ コハク
 一城に中止す。其の家大に富んで財寶無量なり。金・銀・瑠璃・珊瑚・琥珀・
 
 ハリジュトウ  ソ モロモロ ソウコ コトゴトニナユイツ   オオ ドウボク ジンサ リミン
 頗黎珠等、其の諸 の倉庫に悉く皆盈溢せり。多く僮僕・臣佐・吏民あつて、
 
 ゾウ メ シャジョウ ゴヨウムシュ   スイニュウソクリ    スナワ タコク アマネ  ショウコ コ
 象・馬・車乘・牛・羊無數なり。出入息利すること乃ち他國に遍し。商估・賈
 
 カクマタハナハ シュタ
 客亦甚だ衆多なり。
 
 
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  1. 今 日 の 解 読 !  (苦)
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世尊よ、我等は今願わくは喩え話を説いて、それによりこの義を明かしたく思い
 
ます。たとえば、ある人がいて、年齢が既に幼児の時に父を捨てて家出し、長ら
 
く他国に住んで、十年・二十年・更に五十年に至りました。既に歳も加(ますま
 
す)増して老い行くばかりのうえに貧困も増し、東西南北に放浪してはその都度
 
他人から衣食を求めながら、しだいにめぐり巡っているうちに生まれの本国の方
 
へ知らず知らずに向かっていていました。本国の父は最初から今まで、子を求め
 
方々へ探し回りましたが見つからないまま移住しある一つの街に留まっていまし
 
た。その家は大そう富んで財宝の量は計り知れないほどになっていました。金(
   
こん)・銀(ごん)・瑠璃(るり)・珊瑚(さんご)・琥珀(こはく)・頗黎珠
 
(はりじゅ)等、それらは諸々の倉庫に各々ことごとく全て溢れんばかりに満た
 
されていました。また多くの僮僕(どうぼく:召使いの少年)・臣佐(じんさ:
 
雇用人)・吏民(りみん:使用人)がおり、象・馬・車・牛・羊などは数え切れ
 
ない数でありました。商売の繁栄の取引動向は国外にも及んでいました。商売人
 
や買い物客も大変多く出入していました。
       
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  2. 今 日 の 説 法 !  (集)
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四大弟子たちは、釈迦の未曾有の法と舍利弗が授記を得たという話を聞いて、歓
喜踊躍し思いがけず大善利を得たことを感謝し、その思いを譬喩(例え話)を用
いて、その感謝に応える義理を釈迦に示したいといいました。
   
その譬喩とは、ある人が幼くして家出して父と離別し、そのままの状態で年齢が
五十歳を過ぎるまで一人で他国で暮らしていたらしいです。
家出した子は、家へ帰らないでいる不幸とともに、生活は困窮し衣食を他人から
貰い歩いて放浪生活を続けていました。 
  
そしていつの日か本人では知らないうちに生まれ本国の方へ次第に近づいて行く
ように向っていたのでした。
父の側は、家出した当時から心配のあまり同じく放浪しながら他国へ探し回りま
したが、見つからずある街に留まっていました。
  
しかし、その父の家は大そうに富み、今では財宝は屋敷の多くの倉庫に納まりき
れないほど金・銀・瑠璃・珊瑚・琥珀・頗黎珠などが溢れんばかりになりました。
また、多くの召使いの少年や雇用人、使用人がいて、象や馬、車、牛、羊などが
無数に保有していました。
   
商売は莫大な利益を生じ、その取引や評判は国外へも及んでいました。
また、商売人や買い物客は絶え間なくとてもたくさん出入していました。
  
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  3. 今 日 の 謎 !   (滅)
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まず、今日の謎を整理して見ることにしましょう!
   
その謎1:子はなぜ父を捨てて逃逝(じょうぜい)したのでしょう?
 

⇒ 幼い頃に家出して旅暮らしをしていた子は50年の間、家に帰らなかったのですが、この例え話を創作した釈迦の大弟子はこの貧乏な旅をしていた子は大弟子が若い頃の自らの立場であると喩えています。そして、子に家出された後、探し求めている間に別な土地に住んで大富豪になった父は釈迦仏の立場であると喩えています。つまり現実には、大弟子たちはまだ若い頃に釈迦と初めて出会った時、釈迦を偉い人と知りつつ釈迦の勧める教えや作法を心からは信じれずに過ごしていたのでした。それは釈迦の教えから逃げていたに等しいことを大弟子は反省と立ち直りを込めてこの例え話を創って聞かせたのでしょう。 

 
その謎2:子が逃逝して帰らないことにより、父の家が富むとはどういう例え話なのでしょう?
 

⇒ 現実にも有り得るような話ですが、大事な子が家出して行方不明なことを心配する人々が親の家へ何らかの情報を持ち寄って集まっているうちに、共通の話題性が尽きないまま商売が栄えていったなんてことですね。家出した子の悩みだけで毎日頭が一杯な父親はただ無心に仕事に打ち込むしかなかったのです。特に悪気のない父親は仕事以外に自分でしたい好きなこともなく、不幸な現実を忘れたい一心で仕事だけにひたすら集中していたのでしょうね。

この話を創った大弟子たちにとってその父親のコツコツ積み上げる、健気な几帳面さが釈迦の立場に類似して思えたのかもしれません。

また、例えば、世の中の教育委員などの地位にある人は休みなく地域全般の社会教育の責任立場である現実に翻弄され、とかく自身の集中力が通常の人ほどは養われ難いのではないでしょうか?したがって、不特定多数な他者への教育立場以外に自分自身で何か日頃継続しなければならない請負的な専門実務を持ち、自身の集中力を人一倍深く磨き続けるための特別な努力を生活に取り入れておく必要があるのでしょう。

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法華経 序品第一

 

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4-4

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コメント: 5
  • #1

    ぶっけん (月曜日, 03 8月 2015 11:41)

    「捨父逃逝」

  • #2

    ぶっけん (火曜日, 04 8月 2015 08:04)

    「捨父逃逝」・・家出の子は貧乏、父は大富豪

  • #3

    ぶっけん (月曜日, 04 4月 2016 10:22)

    幕末越後の良寛が裕福な実家から出家して僧になり長年の後に実家へ一人で帰るなり挫折したことは、この愚子の場合の比喩とどういう関係にあるだろう?

  • #4

    ぶっけん (土曜日, 03 12月 2016 21:02)

    仏・如来・仏陀など、いくつかの呼び名がありますが、お釈迦様はどれにも当てはまるのでしょうか?結構これが難解なレベルにある超クイズに思えるのです。

  • #5

    ぶっけん成安田 (月曜日, 03 4月 2017 15:26)

    この信解品は大弟子が釈迦からへの感謝を込めて自信満々に作った例え話なのです。
    しかし、実際の今の世の中で考えてみれば、この例え話の逆に、育んでくれていた家や親を捨て勝手に家出する子のほうが金持ちになっていく裏腹に、残された家側はどんどん廃れていくというのが現実には多いでしょうね。
     
    ところが、釈迦はこの例え話を作って聞かせた大弟子のことを真にその通りであると、たいそうに誉めています。
    それは現実の世の中の俗な風潮に流されず、反骨になろうともひたすら正しさを守り抜くことで、仏が家出の子を助けてくれるのだという理想を貫いているようです。
    これもまた、お互いの修行で長らく築かれ、分かち合った友情ならではで到達することでしょう。
    それにより、ついに信頼に至るのです。